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“Optical Enhanced Cavity (OEC) Laser Fusion Reactor” Project Selected for the JST Moonshot R&D Program – Japanese

Osaka Moonshot Press Release Image Oct21 2025
OSAKA. JAPAN -研究開発のイメージ図: 本画像は,現在大阪大学-Blue Laser Fusion エネルギー協働研究所にて開発中の空間光蓄積型レーザー装置の写真から,周囲の不要な物品や構造体を除去し,生成 AI で研究者等を合成した研究開発のイメージ図です.

Original source: The University of Osaka, October 21, 2025. Click here for the article link


Press Release

革新的レーザーフュージョン技術の研究開発を通じて持続可能な未来社会の実現へ

概要

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が公募したムーンショット型研究開発事業・目標 10「フュージョンエネルギー」の研究開発プロジェクトに、大阪大学レーザー科学研究所 藤岡慎介教授(大阪大学–Blue Laser Fusion エネルギー協働研究所 所長)がプロジェクトマネージャー(PM)※1 を務める「空間光蓄積型レーザー※2 フュージョン発電炉」の研究開発プロジェクトが採択されました。

レーザーフュージョン※3 の分野では、米国ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)※4 が 2022 年にフュージョンエネルギー創出の実現可能性を示す歴史的成果を挙げましたが、社会実装を見据えると、エネルギーを継続的に創出できるよう、高出力レーザーの繰り返し動作が不可欠です。しかし、既存装置に用いられているガラスレーザー増幅器では、ガラスに熱が蓄積し、レーザービームの品質劣化が進むため、高頻度での繰り返し動作が困難で、さらに、プラズマ※5 加熱効率も現状では実用化に十分な水準に達していません。

こうした課題を克服するために、根本的な技術革新が求められており、今回採択された研究開発プロジェクト「空間光蓄積型レーザーフュージョン発電炉」はその突破口となる挑戦的なアプローチを提示しています。レーザー光のエネルギーを空間に蓄積することでレーザー光の強度を増やし、大強度のレーザーで効率的に地上に太陽を作ることを目指します。詳細な研究計画については、今後、吉田善章プログラムディレクター(東京大学大学院 特任教授)をはじめ、課題推進候補者および JST との議論を通じて決定していきます。研究開発を通じて、国のムーンショット目標「2050 年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現」に貢献していきます。

【藤岡慎介教授のコメント】
米国国立点火施設 National Ignition Facility での核融合点火後、レーザーフュージョンエネルギーの実現に向けた活動が世界中で活発になっています。大阪大学レーザー科学研究所、Blue LaserFusion エネルギー協働研究所の強みを最大限に活用し、本研究開発における日本の勝ち筋を見いだしていきます。

[大阪大学レーザー科学研究所について]
レーザー科学研究所(所在地:大阪府吹田市、所長:兒玉了祐)は、飛躍的に進化を続けるレーザー技術をさらに発展させ、人類未踏の領域を探究することで、新たな学術や革新的技術を創出し、イノベーションの源泉となることを目指しています。内閣府フュージョンエネルギー・イノベーション戦略推進会議にて、2025 年 6 月 4 日に改定された「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」においても、同研究所は産学官の研究力強化や地方創生の観点から、スタートアップや原型炉開発に不可欠な大規模施設・設備群を整備・供用する「フュージョンイノベーション拠点」としての役割を期待されています。

[大阪大学–Blue Laser Fusion エネルギー協働研究所について]
大阪大学–Blue Laser Fusion エネルギー協働研究所は、国立大学法人大阪大学(所在地:大阪府吹田市、総長:熊ノ郷 淳)と Blue Laser Fusion 合同会社(所在地:東京都千代田区、代表:太田裕朗)が有する最先端の光科学技術と幅広い学術資源を結集し、未来社会に不可欠な極めてクリーンなフュージョンエネルギーの社会実装を加速させることを目的に、大阪大学内に設置された研究拠点です。今後、藤岡 PM が推進する研究開発プロジェクトの遂行において不可欠な共創の場です。

[ムーンショット型研究開発制度について]
ムーンショット型研究開発制度とは、我が国発の破壊的イノベーションを創出することを目的に、従来技術の延長では実現困難な課題に対して大胆な発想で挑戦的な研究開発を進める日本政府が推進する大型研究プログラムです。ムーンショット目標 10「フュージョンエネルギー」では「2050 年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現」を掲げています。


用語説明

※1 プロジェクトマネージャー(PM)
内閣府が定めるムーンショット目標からバックキャストした達成シナリオを描き、従来技術の延長にない挑戦的な研究開発を設計し、国内外から課題推進者を選定して体制を構築、プロジェクトを自らの指揮で実施・評価・見直し(方向転換やスピンアウトを含む)まで担う責任者です。

※2 空間光蓄積型レーザー
Optical Enhanced Cavity (OEC) レーザー。従来のガラスレーザー増幅器では、熱の蓄積による劣化が生じるため高頻度の繰り返し動作が難しい課題があった。これに対し、レーザー光を空間的に蓄積して取り出す方式を用いることで、熱蓄積の影響を回避し、高出力レーザーの高頻度動作を可能にする新しい技術として開発している。

※3 レーザーフュージョン
高出力レーザーを核融合燃料(重水素や三重水素など)に照射し、燃料を高密度に圧縮すると同時に高温度に加熱することで核融合反応を起こし、エネルギーを得る手法。日本、米国、フランス、中国、ロシアなどで研究が進められている。ドイツやオーストラリアにも新興企業が誕生している。

※4 米国ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)
米国カリフォルニア州にある研究所。世界最大規模のレーザー装置「NIF(National IgnitionFacility)」を運用し、2022 年にはレーザー核融合において燃料から得られるエネルギーがレーザー入力を上回る「点火(Ignition)」を実証した[1]。藤岡 PM による一般向けの解説記事(英語)[2]にて、成果の意義とフュージョンエネルギーの実現に向けた点火後の科学的・技術的課題がコンパクトに整理されている。
[1] H. Abu-Shawareb et al. (Indirect Drive ICF Collaboration), “Achievement of target gain larger than unity in an inertial fusion experiment,” Phys. Rev. Lett. 132, 065102 (2024).
[2] S. Fujioka, Nuclear-fusion reaction beats breakeven, Physics 17, 14 (2024).

※5 プラズマ
気体を極めて高温にすると、電子が原子核から分離し、荷電粒子が混在する状態になる。この状態を「プラズマ」と呼び、核融合反応を起こすためには燃料をプラズマ状態にして極限条件に制御する必要がある。

参考 URL

藤岡慎介教授 研究者総覧
URL https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/13c515ae20566e39.html

本件に関する問い合わせ先
<研究に関するお問い合わせ>
大阪大学 レーザー科学研究所 教授 藤岡 慎介(ふじおか しんすけ)
TEL: 06-6879-8749 FAX: 06-6877-4799
E-mail: fujioka.shinsuke.ile@osaka-u.ac.jp

Read this article on www.ile.osaka-u.ac.jp
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About Blue Laser Fusion, Inc.

Blue Laser Fusion Inc. (BLF) is a leading fusion energy company based in Santa Barbara, CA with offices in Silicon Valley and Tokyo, Japan. The company is commercializing a proprietary and novel laser fusion technology to achieve the world’s first carbon-free, on demand, renewable, clean energy generation and to accelerate a transition to an electrified world. BLF aims to commercialize a GW scale reactor to provide power to the grid to meet the acute and increasing demand for clean energy for data centers and to support the AI revolution, for semiconductor chip fabrication facilities and chemical and steel production plants, as well as for electric vehicles and homes. The company has a comprehensive IP portfolio with more than 100 patents and applications internationally. To learn more, please visit:

www.bluelaserfusion.com